11月23日「あなただけに読む朗読会」vol.6無事終了しました。

11月23日(祝)昭和の家/縁側カフェにて開催、「あなただけに読む朗読会」vol.6~嗚呼、無常…~芥川龍之介作「雛」「蜘蛛の糸」、無事終了いたしました。ご来場いただきました方々、心を寄せていただきました方々、ありがとうございました。

当日は、天候にも恵まれ、ベストコンディションで臨むことができ、音魂~OTODAMA~、スタッフ一同、大変有意義な一日となりました。

前回、9月にお越し下さった方もいらっしゃるのと、「雛」の話が薄暗い土蔵の中が舞台なので、今回は、こちら側を舞台に。

この日は、ひんやり。ダウンを着こんでリハ。


「蜘蛛の糸」の衣装で。毎回、衣装は、拘って作ってます。

毎回、写真を撮るのを忘れてしまうので・・・今回は、お願いして撮ってもらいました。

口元を出して写真を撮るのも久しぶり。

「雛」の衣装。この話が終わったら、また着替えてしまうので、前撮り。

もちろん、公演時は、フェイスベール着用。早く何も付けない状態でできたらいいな。

ご来場の皆さんへのおみやげ。分かるかな~?芥川製菓のチョコレート。このパッケージが大正昭和~初期っぽいんです。

強力なスタッフに支えられて今回も無事に幕を下ろすことができました。

音魂~OTODAMA~の舞台、さすがに2か月で2回は大変でしたが、今年はコロナ禍の中、よくそんなにできたなと、今振り返って思います。

今回、文化庁のArts for the future!にチャレンジしていました。なかなか結果が来ず、不採用なのかと諦めかけていたところ、交付決定の通知が来たのは、なんと、11月の公演の2日前。人生で初めて胃が痛いというのを経験しました。

助成金素人には本当にハードルが高かったです。募集要項を何度も何度も読み返し、任意団体を立ち上げ、規約を整え、何度も税務署に足を運び、資料を集め、穴が開くほどチェックし、ハラハラドキドキしながらネットで申請・・・。本当に送れてるんだかどうかも心配で心配で。・・・もし、降りなかったらどうしよう・・・。まぁ、昔一人芝居をしたときみたいに軽自動車2台分被るか・・・。覚悟も決めてました。それほどまでしてこんな時期に公演を打つのは、なんでなんだろう・・・。と、夜中に眠れなくて自問自答する日々を過ごしました。

世の中に朗読を普及するとか、明るくするとか、人々を感動させるとか、ごめんなさい、そんなおこがましいこと考えてないです。もしそうなってたらいいな、面白いと思ってくれたらいいな、とは思いますが。たぶん、音魂~OTODAMA~が職人だからです。私は、文章を読むということを生業とし、小川このんは音楽を生むことを生業としてきたので、自分たちが作る以上、面白いものでないと納得いかないと思っています。自分たちの演技に中心で浸っていることはないんじゃないかな。演じているときは、いくつかの眼があって、カメラワークが切り替わる。上からも俯瞰して見てるし、登場人物にもなってるし、作者にもなってるし、・・・。上手く言えませんが映画監督のような感じでしょうか。特に、今回の「雛」は、没落した家族が必死に生きようとする話で、8人の登場人物が出て来ます。娘のお雛様までも売らなければ立ち行かなくなってしまった父親の立場、それに従う母親、長男として何とか家を立て直す手助けをしたい兄、そんな家族の様子を見ながら自分の気持ちをなるべく抑えて頑張ろうとする妹、それを懐かしく語る今の老女、作者、ほか。その8人がそれぞれの役割を果たしてこの話は成り立っています。この話に取り組むということは、文字を読むということではなく、何度もこの登場人物全員にもなって、監督もする感じです。私が見ている情景と小川このんが見ている情景とはたぶん同じ。音がさらに映像の輪郭をクリアにしていきます。

今回、「雛」に取り組んでみて、本当に無駄がないというか、それぞれの人物が良く書かれた作品だなと思いました。芥川龍之介の創作の中でも、「蜜柑」よりも「トロッコ」よりも好きです。

「蜘蛛の糸」は、♬ちょっと~振り向いて~見ただけの~♪お釈迦様の気まぐれ、運命なんてそんなもの、という部分をデフォルメしてあざとく表現してみたかったのです。短いお話ですが、本当に面白い話だと思います。

余談ですが、この「蜘蛛の糸」は、朗読の初心者の教材としてよく目にしますが、私は、初心者にとってこれほど難しい作品はないと思っております。大体において、みんな気持ちよく読まれるのですが、それがこの先の不幸になりかねない作品だと思います。酔っぱらって読むのがデフォルトになると取り返しがつきません。私もこの作品のときは、細心の注意を払って指導しています。

ところで、vol.5から「あなただけに読む朗読会」は、あなただけに読む朗読会実行委員会というチームで制作をしています。おもてなしや気配りのエキスパートのスタッフが強力にサポート。お互いをリスペクトしながら、和やかに円滑に進めてくれています。私が一人で抱えそうになると、「これは、事業ですよ」と言ってくれる。「あ~、もう独りじゃないんだ~」と温かさに何度もウルっと来ております。誰一人としてキリキリしたりカリカリしてトゲトゲしてる人がいない。頭キレッキレなのに、ふんわりしなやかなスタッフ。次回作もみんなで面白いものにしていきます。

そうそう、今回、初めて「あなただけに読む朗読会」をご覧になった方から嬉しい感想を頂きました。「初めてこんな朗読会を見ました。ライド型のジェットコースターみたいでした!」

ライド型?のジェットコースター?!そんな風に言っていただけると、vol.7ももっと面白く作らなきゃと意欲が湧いてきます。