つかの間の昭和ノスタルジーへ。2020年9月26日(土)鳳明館「旅館で味わう江戸川乱歩」

このコロナ禍の中、少しでも前に、と蚤の歩みのくらいゆっくり積み重ねてきたことが、少しずつ形になりつつあります。

受付の横のすりガラス。「河童」が。こういった細工が至るところに。

春先に「文豪缶詰プラン」という面白い企画で、文京区の老舗旅館を盛り立てている記事を目にし、早速申し込みました。趣は最高にして、決して高級とはいえない旅館。

かつて文豪たちは、原稿の締め切りが差し迫ったときに出版社の原稿の取り立てから逃れるように旅館に缶詰めになって書きあげたそうです。

そんな文豪たちの気分を味わえる宿泊プラン。オプションには、「先生!書けましたか!!」とせっついてくる出版社の担当役の役者まで誂えてくれるらしい。

また、本妻と愛人の修羅場を目の前で体験できるオプションも!

老朽化を逆手に、こんな楽しいことを企画するなんて、なんて遊び心満載なんだろう!

不定期に売り出すこのプランも、毎回あっという間に埋まってしまう。

こんな素敵なところでいつか読めたらいいなぁ~、と思い、一度宿泊がてら、下見でも・・・と思っていたのです。

ところが、この新型コロナの影響で、春先はほとんどがキャンセルになってしまったそう。

いつもは、海外のお客様でいっぱいのはずが、私が、訪れた桜の頃も、下足箱に靴はゼロ。

そんな状態にもかかわらず、女将さんは戸惑いながらも、明るく接してくれました。

「こんな最中だから、地元の人たちに気軽に利用していただければ、と思っています」

鳳明館森川別館の女将さん。

目の前が東大という土地柄、この界隈には、かつて300軒以上もの下宿屋や旅館があったそうですが、今や、鳳明館の三館だけだそう。私のような一見は、こういった古い建物は、ぜひ残してもらいたい!と平気で思ったりしますが、オーナーさんとしては、山手線の内側のこんな東京のど真ん中の地価の高いところで、殆どお客の来ない旅館を営むわけには・・・と、普通だったら、考えるのではないかと思うのです・・・。

鳳明館本館。手前の車は?奥で話している和服の女性と紳士。手前の女性のファッション。古き良き時代。

女将さんにいろいろお話を伺ううちに、「いつかここで朗読会や教室の発表会を実現したい!」という思いが湧いてきました。

ですが、このコロナ禍の中。お客様を呼ぶに呼べず、教室の皆さんに、積極的に演りましょう!とも言えず、もし、感染が拡大して、参加してくださる方々に万が一のことがあったら・・・。演ると決めて中止になってしまった場合、場所代をどう工面しようか・・・。実際、7月の朗読会もホール代は納めたまま延期となっておりますしね。本当に、いろいろ逡巡しました。

ところが、なんと今回、有難いことに、鳳明館のイベント企画をされている会社から「うちが仕切りますので、出演という形で」と、とんでもなく有難いお話をいただきました。

お客様の数、収容人数、制作代、鳳明館に支払う使用料、スタッフの人件費、出演料を考えると・・・・完全に採算度返しなのは、明白。それでも、企画してくれた(株)八十介の代表海津様には感謝しかありません。

さて、私どもに何ができるのか。

今回の朗読会が少しでもお役に立てる、なんて、そんなおこがましいことなど思ってません。満員だって各回20名。それでも、こんな素敵な旅館や、文豪たちの足跡がたどれる街、遠くに行かなくてもこんな素敵な街が近くにあるということを少しでも気付いてくれる人がいたら。そして、また足を運んでくれたら・・・と、とちょっとだけ・・・、いえ、大いに期待しています。

一度閉めてしまったら、もう二度と再現できない建物。修理するにもこれだけの材料は手に入らない。このコロナでこのままお客さんが来なければ、これまで刻んできた歴史もそこで閉じることになる。

出来ることならば、この宝物を後世にも伝えて欲しい。勝手なお願いですけれど・・・。

 

鳳明館特設サイトにてチケットのご予約受付を開始いたしました。鳳明館、主催者、演者、スタッフ、新型コロナ感染対策の万全を期してお迎えいたします。どうぞ、つかの間の昭和のノスタルジーと文豪たちゆかりの地をお楽しみくださいませ。

鳳明館特設サイト

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